がん保険を知る

がんの治療法について

がんの告知を受けた方に示される治療方法は、基本的に「手術療法」「化学(薬物)療法」「放射線療法」の3種類があり、これを三大療法と呼んでいます。各治療法については以下のとおりです。

手術療法

がんの病巣を切除する療法で、早期のがんや、ある程度進行しているがんでも、切除可能な状態であれば、手術療法が積極的に行われます。微小転移がなければ完治の可能性が高いことがメリットですが、切開をするため、創部の回復に時間がかかり、手術痕が残ってしまうこと、切除した部位によっては臓器や体の機能が失われることもあります。 しかし、最近の医療技術では、切除する範囲をできるだけ最小限にとどめる方法(縮小手術)や、腹腔鏡下手術、胸腔鏡下手術など、体への負担を少なくする手術の普及が進んでいます。

化学療法

化学療法は、抗がん剤などの投薬によりがん細胞を死滅、減滅させる治療方法です。抗がん剤の投与方法は、点滴や注射、内服です。血液を通して全身をめぐるため、ごく小さな転移にも効果があります。一方、副作用の症状や、肝臓や腎臓、造血器官などへの障害が避けられず、その後の負担が大きいのが化学療法のデメリットです。しかし、最近の技術進歩により副作用などの症状を軽くできるようになってきています。 このほか、乳がんや子宮がん、前立腺がん、甲状腺がんなどのがんに対しては、「ホルモン療法(内分泌療法)」がよく行なわれます。特定のホルモンの分泌や作用を抑制することで、がん細胞の活動を抑えて腫瘍を小さくしたり、転移や再発を抑えたりします。副作用は比較的少なめですが、長期間治療を続ける必要があります。

放射線治療

放射線治療は、病巣部に放射線を照射して、がん細胞を死滅させる局所療法です。治療前の検査技術や照射方法の進歩によって、がんの大きさや位置を正確に測り、その部分だけに集中的に照射することが可能になり、局所以外への負担を軽減させることができます。 放射線治療においては、体の外側から放射線を照射する「外部照射」、放射線を出す物質を密封した針やカプセルを病巣部に挿入する「密封小線源治療」、放射性物質を注射や内服で投与する「放射性同位元素内用療法」があります。一時的に炎症症状などの、副作用があらわれることもあります。

がん保険でも生保と損保ではどう違うの?

一概に「がん保険」といっても生命保険会社の商品と損害保険会社の商品に分類することができます。 生命保険会社によるがん保険は、「保障」であり、がんとなった際の金銭的な問題を包括的にサポートするものです。そのため、一時金や入院、手術、通院、先進医療、収入保障など、がんになった以後のあらゆる金銭的リスクを想定しているため、分類も細分化されており、自分に必要な金額を加入条件として選択することができます。 一方で、損害保険会社によるがん保険は「補償」であり、がんになった後に治療に際して、実質的に負担した医療費を保険で補う役割を持っています。そのため、実質的に負担した医療費以上の補償が乏しいため、長期的に金銭的なトラブルが発生したとしてもカバーすることが難しいものとなっています。保険料としては割安かつ一定であり、補償内容もシンプルなものになっているケースが多いです。 損害保険会社のがん保険でも診断給付金を設定している商品はあり、特約として先進補償をつけることもできる商品もあります。また、公的医療保険の範囲を超えている自由診療までカバーしているものあります。 また、期間に違いがあり、損害保険会社のがん保険は5年などの期間が決められている定期保険が中心で、更新が必要となります。 一方で、生命保険会社の商品は、終身タイプもあり、また終身保障でも、保険料の払い込み期間を60歳までなど、年齢で設定できるものが主流です。 どちらが良いかは、医療保険で保障している範囲はなにか、保険料が一生定額であったほうが良いのか、先進医療などの特約などを重点的に保障したいか、などによって異なってきます。他の保険の加入状況、将来的な計画などを見据えた上で判断するのが良いといえます。

がん保険の給付金の種類について

がん保険に加入し、給付金として保障される種類は以下のとおりです。

(1)診断給付金

診断給付金は、初めてがんと診断されたときに受け取れる給付金です。まとまったお金を受け取れますが、保障金額は商品や保険会社によってことなり、加入する際に選択することができます。また、受け取れる回数は1回の場合、または複数回受け取れる場合もあります。複数回受け取れる場合は、2回目ががんによる「入院」か「通院」なのかなど、条件が設定されています。さらに、保険会社によっては、診断給付金の支払いの対象となるがんとして、上皮内がんを除いている場合もあります。 がん診断給付金は、一時金として受け取れるため、高額な先進技術を含めたがん治療費をカバーできる場合もあります。また、日常生活費などや収入減少に備えた資産として活かすことができます。

(2)入院給付金

入院給付金は、がんで入院したときに受け取れる給付金で、入院日数に応じて支払われます。一般的に1日あたり5,000~15,000円の給付金が主流です。しかし、がん入院給付金は医療保険の入院給付金と違って基本的に支払日数に限度が設けられていないため、入退院を繰り返すような治療や長期入院になってしまった場合でも、期間を気にせず治療に取り組むことができます。

(3)手術給付金

手術給付金は、がんの治療を目的として保険会社が定める手術をした場合に受け取れる給付金です。受け取れる保険金額は手術の種類に応じて入院給付金日額の10倍・20倍・40倍としている場合と、1回の手術に一律金額を定めている場合があります。支払回数の限度は基本的にありませんが、同一の手術を複数回受けるなど一連の手術に関しては14日間に1回などの制限を設けている場合もあります。

(4)がん通院給付金

通院給付金は、がん治療を目的とした通院をしたときに受け取れる給付金で、通院日数に応じて支払われます。通院1日あたりの給付額は入院給付日額と同額で5,000~15,000円のものが主流です。 通院の規定も保険会社によって異なり、入院を前提としその前後の通院に限定して保障をしたり、入院以外にも保険会社所定の通院であれば保障したり、あるいはがん治療を目的としていれば入院の有無に関係なく保障したりします。 がんの治療の中心は手術と入院による治療は減少しており、通院へと変わってきています。このことからも、長期的な治療が必要となれば、一時金としての給付よりも、通院給付金としての保障のほうが手厚い保障を受けられるケースも増えてきています。

(5)先進医療給付金

先進医療給付金は、がん治療のための先進医療を受けたときに受け取れる給付金です。給付額は一般的に通算2,000万円などを上限とし、実際の技術料相当が支払われます。 先進医療は厚生労働大臣の認める医療技術で、医療技術ごとに適応症(対象となる疾患・症状等)および実施することができる医療機関が限定されており、この医療技術・適応症・実施する医療機関は随時見直されます。公的医療保険が使えませんので、医療費は全額自己負担となり高額になりがちです。先進医療給付金は高額になりがちな先進医療に備えることで、治療の選択肢を増やすことができます。

がん保険の4つの種類

がん保険は一般的に以下の4種類に分類されます。

入院給付金型

一番種類が豊富ながん保険です。がん入院給付金の日額をベースとして、診断給付金、手術給付金などの保障額が決まり、また主契約にプラスして特約としてさまざまな保障が選択できます。この種類のメリットとしては、選択肢が豊富にあることです。どのようながんに罹患するか分からないので広くかつ長期的にがんのリスクを備えたいという方向けです。

実損補填型

損保系の保険会社に多いがん保険です。健康保険により、公的医療制度では賄えない範囲の医療費などを補償する保険です。自由診療の費用も補償する保険もあります。がん保険にはあまりお金をかけたくないが、いざがんに罹患した際には、お金が掛かっても最新の治療方法を使っても治したいという方向けです。

診断給付金型

入院給付金型と異なり、入院給付金や手術給付金などがなく、診断給付金のみを保障する保険です。がんになったときに一時金としてまとまったお金が必要だという方にお勧めです。入院や手術の前にまとまった金額での保障が必要、罹患しても入院をせずに治療したい、といった方向けです。

収入保障型

がんになり、就労できずに治療期間の収入が減ってしまうリスクを保障する保険です。毎月、年金の形で保険期間が満了するまで保険金が給付されます。入院給付金や診断給付金などは預金で賄うことができるため不要であるが、その後の収入が減少することに備えたいといった方向けです。

がんとはなにか

人間の身体の細胞の総数はおよそ60兆個に及び、それらの細胞は常に様々な傷を受け修復するということを繰り返しています。ところが、細胞に何らかの異常が起こり、細胞が増殖を繰り返し、止まらなくなってしまうことがあります。そうして何年もかけてできた異常な細胞のかたまりの内、生命を脅かすものががんです。これは悪性腫瘍あるいは悪性新生物とも呼ばれます。がんは近くの組織に侵入し、一部が血管やリンパ管を通って離れた臓器に転移し、そこでも増殖します。そのため、臓器に侵食した場合は、臓器不全となり、特定のがんとなります。それゆえ、すべての臓器、組織にがんが発生する可能性があります。 がんは、白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫等など造血器でできるもの、肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、子宮がんなどの上皮細胞でできる「癌 と骨肉腫、血管肉腫等の非上皮性細胞からなる「肉腫」に大きく分類されます。まれに、1つの腫瘍の中に両者が混在する「癌肉腫」というものも発生します。

上皮内新生物と悪性新生物

上皮内新生物は、上皮内腫瘍とも呼ばれています。まだ上皮細胞と間質細胞(組織)を境界する膜(基底膜)を破って侵入していないがん(腫瘍、癌)を指します。その部分を切除すれば進行は抑えられるため、症状は軽度で済みます。 悪性新生物はがん細胞が、基底膜を侵食したのちのことを指し、進行や転移が早いことから、根本的な治療が上皮内新生物に比べて難しくなるのと、臓器によっては治療方法が限られることになります。

オプジーボ®はがん保険で適用されるの?

2018年ノーベル医学生理学賞の受賞もあり、国内でもがん治療としてオプジーボ®(一般名ニボルマブ)が話題になっています。 オプジーボ®をはじめとする免疫チェックポイント阻害薬は、がん治療の一種として、そしてその薬価の高額さも併せて注目されています。 通常、がん細胞はT細胞など免疫の力によって取り除かれています。しかし、がん細胞のなかには、免疫から逃れる方法を獲得しながら増殖を繰り返すものがあり、これらが一定以上の塊にまで増殖することで「がん」となります。がん細胞には、「PD−1」という、活性化T細胞の表面に発現するタンパク質があります。 このタンパク質を通じて、がん細胞を攻撃するT細胞の活性を低下させています。 オプジーボをはじめとする免疫チェックポイント阻害薬は、このT細胞による活性低下の働きを阻害することで、正常細胞を攻撃することを抑え、免疫力が低下するのを防ぐ役割を果たしました。 2014年、これら研究をもとに、免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボ®(一般名ニボルマブ)が開発されました。 このような、本来の免疫細胞の働きに着目したがん治療の「免疫療法」といわれます。国内での認可も進んでおり、オプジーボ®の保険適用がんは、2018年10月時点で、悪性黒色腫(メラノーマ、皮膚がんの一種)、肺がん(非小細胞、二次治療からのみ使用可能)、頭頸部がん(舌がん、咽頭がんなど)、胃がん(切除不能なものに限る)などに限られています。 これらのがんの治療に対しては、保険対象となるため、高額療養費制度の対象となるため、月額でも8万円ほどの費用負担となります。 しかし、上記6種類のがん以外の治療になると、全額自己負担となるため、高額な治療費が必要となります。 オプジーボ®の薬価代は、以前は1瓶(100mg)あたり約73万円ほどかかりましたが、36万、27万円と下がり、2018年11月には17万円にまでと急速にさがっています。しかし、1回あたり180mgの投与が必要となるため、年間で1000万円近い費用負担が必要となります。 先進医療は、厚生労働省が指定した治療が対象となっており(「先進医療とはなにか」を参照)、それ以外のがん治療は先進医療の対象外となっています。こうした場合の治療を自由診療といいますが、がん治療の保障を考えるうえで、こうした自由診療が保障の対象かどうかを考慮することが重要です。

がん保険のメリット

入院給付金は日数の限度が無い

医療保険では一度の入院に対して保障できる日数が60日や120日などのように制限されていますが、がん保険ではこの入院日数が無制限のものが主流です。再発転移などにより長期にわたって入退院を繰り返す場合でも日数制限がなく、治療途中で保障が切れることもなく安心して治療を受けることができます。

一時金での受け取りが可能※

がん保険で診断一時金の保障がついている場合、がんと診断された場合に一時金を受け取ることができます。これは、医療保険では入院や手術について保障されるため、一時金としての受け取りはできないの対して、がん診断時に保障を受けることができるため、早い段階で治療のための準備を行うことができます。また、がん保険では一時金の金額を設定することが可能になります。 ※一部の医療保険では、特約にて初めてがん(悪性新生物)と診断確定されたときに一時給付金が支給される商品があります。

がん保険のデメリット

がん治療のみを保障対象としている

がん保険はがん治療のために入院・所定の手術・通院治療を受けた場合に保障ができる保険です。保障を限定している分、医療保険と比較して保険料を安いですが、あくまでがんのみを対象としているため、病気やけがの治療においては保障されません。

契約後には90日間の待機期間がある

がん保険は契約後、すぐにがんになったとしても保障がされるというわけではなく、契約後90日間は待機期間としている保険が一般的です。この90日間の間に万一がんと診断された場合には、がん保険は無効となってしまいます。  

がん保険を選ぶ際のポイント

がん保険の種類は豊富にあり、保障内容も多岐にわたってきています。そのためにがん保険を選ぶ際にどのような違いに着目すればよいのか、以下のポイントがあげられます。

1、診断給付金の受け取り回数は複数か

がんと診断されたときの「診断給付金」は、商品によって受け取り方が異なります。例えば、一度しか受取れない商品もありますし、再発した時などには複数年に1回受取れる商品もあります。また、保障内容に診断給付金がないものもあります。がんは、一度治れば必ずしも大丈夫とはいいきれません。数年経って再発することも想定されます。そのため、診断給付金が一度でよいのかどうかを想定しておく必要があります。

2、上皮内がんでも診断給付金が減額されずに受け取れるか

がん保険の中には、悪性新生物と上皮内新生物を区別し、保障内容においても給付金額が異なるもの、または上皮内新生物は保障対象外という商品もあります。上皮内新生物は転移するリスクが悪性新生物に比べて低いという理由から、上皮内新生物は保障対象ではないケースもあります。そのため、上皮内新生物にかかった場合でも保障されるかを確認する必要があります。

3、入院給付金日額がいつから支払われるか

入院給付金日額は、保険商品により1日10,000円や、15,000円といったものもあります。この金額については、医療保険の入院給付金と同様に考慮する必要があります。 入院日額給付金がいつから支払われるかは商品によって異なっており、入院1日目から支給されるものとそうでないものがあり、確認しておく必要があります。

4、先進医療が保障に含まれているか

最近のがん治療には先進医療のほうが有効な治療であることも増えてきています。しかし、先進医療は最先端の治療技術のため、保険適用外で費用が高額な場合もあります。そのため、先進医療を受けた場合に備えて先進医療による保障も重要です。万が一の場合に備えて高額な医療費にも対応できるよう備えておく必要があります。

5、通院給付金の支払い限度は何日か

最近ではがん治療に関しても、入院の短縮化が進んでおり、通院による在宅治療が増えてきています。通院のほうが長期的かつ高額になると想定されるのであれば、入院給付金よりも通院給付金の限度日数ができる限り長い商品が有効であると考えられます。

白血病とは

白血病は血液のがんです。血液細胞には赤血球、血小板、白血球がありますが、これらの血液細胞が骨髄でつくられる過程で、がんになります。がん化した細胞(白血病細胞)は、骨髄内で増殖し、骨髄を占拠してしまいます。そのため、正常な血液細胞が減少し、貧血、免疫系のはたらきの低下、出血傾向、脾臓(血液を貯蔵しておく臓器)の肥大などの症状があらわれます。血球を作る細胞すなわち造血幹細胞が骨髄の中でがん化して無制限に増殖する病気です。 白血病は、急速に進行する急性白血病と、ゆっくり進行する慢性白血病に大きく二分され、さらにそれぞれ骨髄系細胞から発生する骨髄性白血病と、リンパ球系細胞から発生するリンパ性白血病に分けられます。それらは、急性骨髄性白血病 (AML)、急性リンパ性白血病 (ALL)、慢性骨髄性白血病 (CML)、慢性リンパ性白血病 (CLL) の4つに称されます。 治療は抗がん剤を中心とした化学療法と輸血や感染症対策などの支持療法に加え、難治例では骨髄移植や臍帯血移植などの造血幹細胞移植治療も行われます。 慢性骨髄性白血病では、初期の段階での自覚症状はありません。その理由は、慢性骨髄性白血病は進行が遅く、過剰につくられた血液細胞でも、ほぼ正常と同等の働きをすることができることが挙げられます。そのため、多くの場合は、健康診断などで白血球数の増加を指摘されるなど、偶然見つかることになります。 しかし、ある程度進行すると、白血球や血小板が増加し、貧血や全身の倦怠感、無気力になるなどの自覚症状がみられるようになります。 一般的な「病気」は、急性期から慢性期へ移行することが一般的ですが、基本的には、初期の頃の状態、ゆっくりと病気が進行する時期を「慢性期」とよびます。ここから特に合併症などが無い場合には、数年後に「移行期」と呼ばれる時期になり、さらに数年後に「急性期」へと移行します。中には、移行期を経ずに、慢性期から急性期へ移行することもあります。症状が少なく、ゆっくりと進行する慢性期から、急激に症状が悪化する急性期へと移行してしまいます。 慢性骨髄性白血病の場合、治癒を目的とした化学療法というよりは、発熱や倦怠感、肝臓や脾臓の腫れなどのような症状の緩和と、血球数を抑えることを目的として、化学療法を行います。投与方法は、内服や点滴による静脈注射、筋肉注射などの方法があります。しかしこれらの方法では、脳脊髄液への薬剤の移行が困難であることから、抗がん剤を直接脊髄へ注射にて投与する「髄注」という方法をとることもあります。 分子標的療法 <特徴> 化学療法よりも高い治療効果が望めることから、慢性骨髄性白血病治療の第一選択ともいわれる治療法です。使用する薬剤としては、イマチニブ・ニロチニブ・ダサチニブという薬剤の、いずれかを選択します。1日1回内服し、治療効果を見ながら、薬剤の増量や変更、または継続を検討していきます。通常は、2~3ヶ月程度で白血球数が減少し、これに伴い、フィラデルフィア染色体を有する白血病細胞白血数も減少していき、白血数は正常化してきます。悪性の細胞が完全に消失する確率は40~60%程度と報告されています。 しかし、内服薬は生涯のみ続けなければならないこと、飲み忘れると効果が格段に低くなるという欠点があります。現在、内服薬を中止しても治療効果が薄れることが無いかどうか、新たな臨床試験が行われています。 インターフェロン療法 <特徴> 生物学的製剤であるインターフェロンを投与することによって、白血病細胞の数の減少だけでなく、白血病細胞そのものが根絶できる可能性がある治療法です。分子標的治療が開発される以前によく行われていた治療方法です。一般的には、化学療法と併用して行われることが多くなります。また、現在でも医療機関によっては第一選択とされる治療方法です。約75%で血液学的寛解がみられ、50%以上でフィラデルフィア染色体陽性細胞の減少を認める細胞遺伝学的効果が得られた、という報告があります。 しかし、その効果が永年持続するか、現在のところは明らかになっておらず、副作用が強く出ることや、治療に対する治療費が高額であるなど、いくつかのデメリットもあります。 造血幹細胞移植 <特徴> 造血幹細胞移植とは、正常な骨髄と患者さんの骨髄を入れ替える治療で、完全治癒が見込める唯一の治療法と言われています。大量の放射線や化学療法で正常な血液細胞と白血病の細胞を全て破壊した後、正常な骨髄を輸血のように投与し、破壊されている白血球と入れ替えます。若年層に対して行われることが多い治療法ですが、近年では移植前の化学療法を緩和し、高齢者でも行える治療法となりつつあります。 移植方法には、自家移植と同種移植、臍帯血移植があります。 ・自家移植 自家移植とは、化学療法により腫瘍細胞が消失し、自身の正常血液細胞が回復した状態の時に自分の造血幹細胞を採取して凍結保存し、その幹細胞を移植する移植方法です。血液の回復が早く、高齢者でも受けられるという特徴があります。 ・同種移植 同種移植とは、白血球の型が全て一致する「骨髄提供者の骨髄」を移植する方法です。しかし、型が全て一致する他人と出会える確率が非常に低いため、行われる頻度も少ない治療法となります。また、治療後の副作用が強く出ることがあり、血液の回復にも2~3週間ほどの時間が必要となることが特徴です。 ・臍帯血移植 臍帯血移植とは、胎児の臍帯血を用いて、移植を行う方法です。臍帯血の特徴として、幼若で増殖能力に富む造血幹細胞が含まれていることが挙げられます。移植後の副作用が少なくて済み、高齢者でも行うことができる治療方法です。 いずれの方法でも、骨髄(または臍帯血)の移植後は、副作用があります。特に移植後1~3週間は易感染状態(感染しやすい状態)となるため、徹底的な無菌管理が必要となります。中には造血幹細胞移植に関連した合併症により、死亡する例もあります。   また、オプジーボ®などの免疫治療以外にも、先進医療として認可されているがん治療も年々増えています。最新の情報をもとに、ご自身の保障内容がどうなっているのかを検討してみるのが良いと思われます。  

がん保険のメリット・デメリット

がん保険のメリット

入院給付金は日数の限度が無い

医療保険では一度の入院に対して保障できる日数が60日や120日などのように制限されていますが、がん保険ではこの入院日数が無制限のものが主流です。再発転移などにより長期にわたって入退院を繰り返す場合でも日数制限がなく、治療途中で保障が切れることもなく安心して治療を受けることができます。

一時金での受け取りが可能※

がん保険で診断一時金の保障がついている場合、がんと診断された場合に一時金を受け取ることができます。これは、医療保険では入院や手術について保障されるため、一時金としての受け取りはできないの対して、がん診断時に保障を受けることができるため、早い段階で治療のための準備を行うことができます。また、がん保険では一時金の金額を設定することが可能になります。 ※一部の医療保険では、特約にて初めてがん(悪性新生物)と診断確定されたときに一時給付金が支給される商品があります。

がん保険のデメリット

がん治療のみを保障対象としている

がん保険はがん治療のために入院・所定の手術・通院治療を受けた場合に保障ができる保険です。保障を限定している分、医療保険と比較して保険料を安いですが、あくまでがんのみを対象としているため、病気やけがの治療においては保障されません。

契約後には90日間の待機期間がある

がん保険は契約後、すぐにがんになったとしても保障がされるというわけではなく、契約後90日間は待機期間としている保険が一般的です。この90日間の間に万一がんと診断された場合には、がん保険は無効となってしまいます。  

がん保険を選ぶ際のポイント

がん保険の種類は豊富にあり、保障内容も多岐にわたってきています。そのためにがん保険を選ぶ際にどのような違いに着目すればよいのか、以下のポイントがあげられます。

1、診断給付金の受け取り回数は複数か

がんと診断されたときの「診断給付金」は、商品によって受け取り方が異なります。例えば、一度しか受取れない商品もありますし、再発した時などには複数年に1回受取れる商品もあります。また、保障内容に診断給付金がないものもあります。がんは、一度治れば必ずしも大丈夫とはいいきれません。数年経って再発することも想定されます。そのため、診断給付金が一度でよいのかどうかを想定しておく必要があります。

2、上皮内がんでも診断給付金が減額されずに受け取れるか

がん保険の中には、悪性新生物と上皮内新生物を区別し、保障内容においても給付金額が異なるもの、または上皮内新生物は保障対象外という商品もあります。上皮内新生物は転移するリスクが悪性新生物に比べて低いという理由から、上皮内新生物は保障対象ではないケースもあります。そのため、上皮内新生物にかかった場合でも保障されるかを確認する必要があります。

3、入院給付金日額がいつから支払われるか

入院給付金日額は、保険商品により1日10,000円や、15,000円といったものもあります。この金額については、医療保険の入院給付金と同様に考慮する必要があります。 入院日額給付金がいつから支払われるかは商品によって異なっており、入院1日目から支給されるものとそうでないものがあり、確認しておく必要があります。

4、先進医療が保障に含まれているか

最近のがん治療には先進医療のほうが有効な治療であることも増えてきています。しかし、先進医療は最先端の治療技術のため、保険適用外で費用が高額な場合もあります。そのため、先進医療を受けた場合に備えて先進医療による保障も重要です。万が一の場合に備えて高額な医療費にも対応できるよう備えておく必要があります。

5、通院給付金の支払い限度は何日か

最近ではがん治療に関しても、入院の短縮化が進んでおり、通院による在宅治療が増えてきています。通院のほうが長期的かつ高額になると想定されるのであれば、入院給付金よりも通院給付金の限度日数ができる限り長い商品が有効であると考えられます。

白血病とは

白血病は血液のがんです。血液細胞には赤血球、血小板、白血球がありますが、これらの血液細胞が骨髄でつくられる過程で、がんになります。がん化した細胞(白血病細胞)は、骨髄内で増殖し、骨髄を占拠してしまいます。そのため、正常な血液細胞が減少し、貧血、免疫系のはたらきの低下、出血傾向、脾臓(血液を貯蔵しておく臓器)の肥大などの症状があらわれます。血球を作る細胞すなわち造血幹細胞が骨髄の中でがん化して無制限に増殖する病気です。 白血病は、急速に進行する急性白血病と、ゆっくり進行する慢性白血病に大きく二分され、さらにそれぞれ骨髄系細胞から発生する骨髄性白血病と、リンパ球系細胞から発生するリンパ性白血病に分けられます。それらは、急性骨髄性白血病 (AML)、急性リンパ性白血病 (ALL)、慢性骨髄性白血病 (CML)、慢性リンパ性白血病 (CLL) の4つに称されます。 治療は抗がん剤を中心とした化学療法と輸血や感染症対策などの支持療法に加え、難治例では骨髄移植や臍帯血移植などの造血幹細胞移植治療も行われます。 慢性骨髄性白血病では、初期の段階での自覚症状はありません。その理由は、慢性骨髄性白血病は進行が遅く、過剰につくられた血液細胞でも、ほぼ正常と同等の働きをすることができることが挙げられます。そのため、多くの場合は、健康診断などで白血球数の増加を指摘されるなど、偶然見つかることになります。 しかし、ある程度進行すると、白血球や血小板が増加し、貧血や全身の倦怠感、無気力になるなどの自覚症状がみられるようになります。 一般的な「病気」は、急性期から慢性期へ移行することが一般的ですが、基本的には、初期の頃の状態、ゆっくりと病気が進行する時期を「慢性期」とよびます。ここから特に合併症などが無い場合には、数年後に「移行期」と呼ばれる時期になり、さらに数年後に「急性期」へと移行します。中には、移行期を経ずに、慢性期から急性期へ移行することもあります。症状が少なく、ゆっくりと進行する慢性期から、急激に症状が悪化する急性期へと移行してしまいます。 慢性骨髄性白血病の場合、治癒を目的とした化学療法というよりは、発熱や倦怠感、肝臓や脾臓の腫れなどのような症状の緩和と、血球数を抑えることを目的として、化学療法を行います。投与方法は、内服や点滴による静脈注射、筋肉注射などの方法があります。しかしこれらの方法では、脳脊髄液への薬剤の移行が困難であることから、抗がん剤を直接脊髄へ注射にて投与する「髄注」という方法をとることもあります。 分子標的療法 <特徴> 化学療法よりも高い治療効果が望めることから、慢性骨髄性白血病治療の第一選択ともいわれる治療法です。使用する薬剤としては、イマチニブ・ニロチニブ・ダサチニブという薬剤の、いずれかを選択します。1日1回内服し、治療効果を見ながら、薬剤の増量や変更、または継続を検討していきます。通常は、2~3ヶ月程度で白血球数が減少し、これに伴い、フィラデルフィア染色体を有する白血病細胞白血数も減少していき、白血数は正常化してきます。悪性の細胞が完全に消失する確率は40~60%程度と報告されています。 しかし、内服薬は生涯のみ続けなければならないこと、飲み忘れると効果が格段に低くなるという欠点があります。現在、内服薬を中止しても治療効果が薄れることが無いかどうか、新たな臨床試験が行われています。 インターフェロン療法 <特徴> 生物学的製剤であるインターフェロンを投与することによって、白血病細胞の数の減少だけでなく、白血病細胞そのものが根絶できる可能性がある治療法です。分子標的治療が開発される以前によく行われていた治療方法です。一般的には、化学療法と併用して行われることが多くなります。また、現在でも医療機関によっては第一選択とされる治療方法です。約75%で血液学的寛解がみられ、50%以上でフィラデルフィア染色体陽性細胞の減少を認める細胞遺伝学的効果が得られた、という報告があります。 しかし、その効果が永年持続するか、現在のところは明らかになっておらず、副作用が強く出ることや、治療に対する治療費が高額であるなど、いくつかのデメリットもあります。 造血幹細胞移植 <特徴> 造血幹細胞移植とは、正常な骨髄と患者さんの骨髄を入れ替える治療で、完全治癒が見込める唯一の治療法と言われています。大量の放射線や化学療法で正常な血液細胞と白血病の細胞を全て破壊した後、正常な骨髄を輸血のように投与し、破壊されている白血球と入れ替えます。若年層に対して行われることが多い治療法ですが、近年では移植前の化学療法を緩和し、高齢者でも行える治療法となりつつあります。 移植方法には、自家移植と同種移植、臍帯血移植があります。 ・自家移植 自家移植とは、化学療法により腫瘍細胞が消失し、自身の正常血液細胞が回復した状態の時に自分の造血幹細胞を採取して凍結保存し、その幹細胞を移植する移植方法です。血液の回復が早く、高齢者でも受けられるという特徴があります。 ・同種移植 同種移植とは、白血球の型が全て一致する「骨髄提供者の骨髄」を移植する方法です。しかし、型が全て一致する他人と出会える確率が非常に低いため、行われる頻度も少ない治療法となります。また、治療後の副作用が強く出ることがあり、血液の回復にも2~3週間ほどの時間が必要となることが特徴です。 ・臍帯血移植 臍帯血移植とは、胎児の臍帯血を用いて、移植を行う方法です。臍帯血の特徴として、幼若で増殖能力に富む造血幹細胞が含まれていることが挙げられます。移植後の副作用が少なくて済み、高齢者でも行うことができる治療方法です。 いずれの方法でも、骨髄(または臍帯血)の移植後は、副作用があります。特に移植後1~3週間は易感染状態(感染しやすい状態)となるため、徹底的な無菌管理が必要となります。中には造血幹細胞移植に関連した合併症により、死亡する例もあります。